謎の男・ジョニー
その名はJonny Hermann。
クリスマス前にやってきて、寿司を置いて
足早に立ち去った謎の男が
再び店にやってきた。
前回同様、カウンターに寿司を広げる。
だから、誰やねん、ジョニー。
寿司のケータリングかい?
今回、実は、来月の震災イベント用の商品をお願いしていた。
そのこともあり、ジョニーは重い口を開き、
寿司の生い立ちを語った。
ある日、捨てるべく木材を見ていたら、
サーモンに切り身に似ていると思ったんだ。
見れば見るほど・・・、
あれ、木材もサーモンも同じじゃないか!と。
サーモンを切るように薄切りにしてみた。
やはり、同じだった。
世の中、捨てるものなんて何ひとつない、
誰からも見向きもされないゴミから
アートが生まれた。
大事なのはモノの見方なんだよ。
震災後の日本の惨状を見て、
人間にとって何が大切かに気付いたんだ。
あ、キミに頼まれていた書類、持ってきたよ。
ジョニーとは何者か。
A4の白い紙。
あ・・・私からの宿題を白紙で提出するこの男。
ジョニー・エルマン。
建築家であり、インテリアデザイナー。
がれきをうまく生かして素敵な町を生み出せるかも、
と思ったとたん、
実際はしがない職人さ。
廃材に囲まれて、せこせこ作業してる。
とおどけてみせた。
実は、この男は役者なのではないかと思っている。
誰かが書いたジョニーというシナリオを完璧に演じている
マウロというイタリア人。
服装から、ひげのカタチから、すべてが完璧で
謎に包まれている。
彼の廃棄寿司、廃棄され、廃棄されるべき寿司は
神々しい光を放っているように見えた。
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